従来、鋼橋の塗装のメンテナンスは、「樹脂系塗装の上塗り」が主流でした。しかし、近年は「長寿命化」の取組みにより、「フッ素系塗装への塗り替え」が主流になりつつあります。塗装を塗り替えするためには、旧塗装を剥がす必要があります。そこで問題になってくるのが旧塗装に含まれる有害物質です。
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従来は費用面から機械的に塗装を削り取るのが主流でした。しかし、昔の塗装には鉛やPCB(ポリ塩化ビフェニル)等が含まれているケースがあり、これが飛散して作業員の人体や周辺環境に影響を及ぼした例が報告されています。
そこで、厚労省から塗装のかき落とし時の制約(剥離剤を使用した湿式工法への転換や廃棄物処理)についての通達がなされていますが、補修工事の発注者や設計者にまでこの通達が周知徹底されているとはいえません。特に現場サイドからは設計段階で廃棄物処理費用を見込んでいないケースが散見されるという報告があります。

今回の現場見学会では、最新の「環境配慮型 水系塗膜剥離剤(NETIS登録)」を使用した塗装剥離の現場を見学しました。水系塗膜剥離剤は従来の「アルコール系塗膜剥離剤」と比較して非常に取扱い易い(低臭で発火し難い)というメリットがあるそうです。
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補修設計を行う上で実際の補修現場を知っておくことは大変有意義なことです。工事関係の皆様方、お忙しい中現場見学会に協力して頂きまして大変有難うございました。