本日は、福井大学にて開催された「コンクリート橋の維持管理・長寿命化」に関連する研究報告会に参加してきました。
本分野において精力的に研究なされている福井大学鈴木先生より下記についてのご講演の後、実験室に移動して実際に塩害を受けた小型PC梁の曲げ試験を見学することができました。

  • 北陸地域の道路橋の塩害に対する維持管理
  • 福井県の腐食環境
  • コンクリートに埋設された鋼材を対象とした非破壊検査手法の検討
  • PC梁の曲げ挙動と実験の概要
  • 塩害を受けた小型PC梁の公開曲げ試験

 

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塩害を受けた小型PC梁の公開曲げ試験の様子

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実験室で行われた公開曲げ試験では、参加者全員が注目する中、応力を段階的に加えて供試体(小型梁)を破壊させました。
RC・PC構造の劣化メカニズムである①変形→②曲げひび割れ発生→③せん断ひび割れ発生→④破壊を実際に目で確認することができました。

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また、アルカリシリカ反応について抑制効果があるとされている「フライアッシュ※」について、その効果が顕著に判る供試体も展示されていました。
左(No.7)はフライアッシュが未混入、右(No.8)はフライアッシュを混和材として15%混入している供試体です。明らかにフライアッシュが混入されている方(No.8)が状態が良好でした。

コンクリートの劣化メカニズムなどは教科書や文献などでも学ぶことは可能ですが、今回のような実験を目の当りにするとより理解が深まると感じました。

※フライアッシュとは : 石炭火力発電所から排出される産業副産物である。フライアッシュを混和材として用いたコンクリートの特徴は、ポゾラン反応により安定した水和物を生成する。ASRや塩害対策に効果がある他、水和熱の抑制にも効果があり、マスコンクリートに適している。フライアッシュの粒子は球状であるため、ボールベアリング効果により、ワーカビリティーが良くなり単位水量の低減、乾燥収縮ひずみの低減にもつながる。
東日本大震災以降、石炭火力発電所の稼働率が高まり、フライアッシュの排出量が増加している。また、地産地消の観点からも更なるフライアッシュの有効利用が望まれる。